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転倒しやすい場所・状況(安全ミニ通信266号)

更新日: 安全ミニ通信
職場で起こる事故と聞くと、どのような状況を思い浮かべるでしょうか。機械の操作ミス、高所からの落下、あるいは機械への巻き込まれ…。もちろん、これらも重大な事故につながる危険なケースですが、実は最も身近で、かつ発生頻度が高い労働災害の一つに「転倒」があります。厚生労働省のデータによると、労働災害の約4分の1が転倒によるものとも言われており、決して他人事ではありません。たった一度の転倒が、骨折や頭部外傷といった重篤な怪我につながり、その後の生活や仕事に大きな影響を及ぼす可能性も十分にあります。
「自分は大丈夫」と思っていませんか? しかし、転倒事故は、ほんの少しの不注意や、見慣れた職場の「まさか」の瞬間に起こります。このコラムでは、実際に発生した転倒事故の事例を交えながら、どのような場所や状況で転倒が起こりやすいのか、そして今日から実践できる具体的な対策について、わかりやすく解説していきます。あなたの足元と、大切な仲間の安全を守るために、ぜひ最後までお読みください。
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  見過ごされがちな転倒の危険性

転倒事故は、特別な場所で起こるわけではありません。むしろ、普段何気なく利用している場所や、日常的な作業の中にこそ、その危険が潜んでいます。ここでは、実際に発生した災害事例を基に、転倒しやすい具体的な状況とその原因を説明します

災害事例1:狭い場所での転倒

ある作業現場での出来事です。作業員が約10kgの製品を台車から取り出し、それを抱えたまま狭い通路を移動しようとしました。
台車と壁の間は幅が狭く、製品を抱えているため足元が見えにくい状況です。
横向きになって通路を通ろうとした際、台車の車輪に右足を引っかけてしまい、バランスを崩して転倒。
床に右ひじ、左ひざ、そして持っていた製品で右骨盤を強く打ち付けてしまいました

この事例からわかるように、作業スペースが狭い場所での移動、特に重い物や大きな物を抱えての移動は、足元が見えにくくなり、つまずきの原因となります。また、台車や工具などが通路に放置されていると、それが障害物となり、転倒のリスクを一層高めます。急いでいる時や、集中して作業を行っている時ほど、周囲への注意が散漫になりがちです。一見すると些細な障害物でも、それが重大な事故の引き金となることを忘れてはなりません。

災害事例2:トイレ内での転倒

この事例は、トイレ内で転倒事故です。
作業員がトイレを使用した後、後ろ向きに下がりながら段差を降りようとした際、床で足を滑らせて転倒。
勢いよくドアに後頭部を強打してしまいました。
このトイレは入口から便器の間に段差があり、さらに清掃後で床が濡れている状況でした。

この事例は、「滑りやすい場所」での転倒の危険性を浮き彫りにしています。水や油で濡れた床は、普段と比べて格段に滑りやすくなります。特に、清掃直後や、水回りの設備がある場所では、床が濡れている可能性を常に意識する必要があります。また、段差がある場所での「後ろ向き」の移動は、足元が見えないため非常に危険です。急いでいる時や、無意識のうちに行動してしまう場面で、こうしたリスクは見過ごされがちです。濡れた床と段差という二重の危険が重なり、重大な事故につながってしまいました。

  転倒しやすい場所・状況

これらの事例から、転倒しやすい場所や状況にはいくつかの共通点があることがわかります

◎つまずきやすい場所・状況

 ・作業スペースが狭い場所
 ・製品や荷物を抱えている状況
 ・通路に障害物がある(台車、工具、コードなど)
 ・段差や傾斜がある場所

◎滑りやすい場所・状況

 ・水や油などで床が濡れている場所
 ・清掃後など、床が湿っていいる状況
 ・雨天時や雪解け時など、屋外から持ち込まれた水分で床がン売れている場所
 ・床材が滑りやすい素材の場所(タイル、ビニールなど)
これらの状況は、私たちの身の回りに常に存在しています。だからこそ、「自分には関係ない」ではなく、「自分にも起こりえる」という当事者意識をもって、日々の業務に取り組むことが重要です

 

  今日からできる安全行動

転倒事故は、ちょっとした意識と行動で防ぐことができます。ここでは、現場で今日から実践できる具体的な安全対策をご紹介します。

1.足元の確認を徹底する

最も基本的なことですが、「足元を見る」という意識を常に持つことが重要です。特に、以下のような状況では意識的に足元を確認しましょう。
移動時:荷物を運ぶ際や、狭い通路を通る際は、必ず足元と進行方向の両方に注意を払います。視線を下げるだけでなく、頭を動かして足元全体を確認する癖をつけましょう。
段差の昇降時:階段や段差を上り下りする際は、手すりをしっかり掴み、一歩ずつ確実に足元を確認しながら移動します。特に、後ろ向きでの移動は絶対に避けましょう。
床の状況確認:水、油や粉塵などで床が汚れていないか、常に意識して確認しましょう。濡れている場所や滑りやすい場所を見つけたら、すぐに拭き取るか、周囲に注意喚起を促します。

2.整理整頓と清掃の徹底

「整理整頓は安全の第一歩」と言われるように、職場の環境を整えることは転倒防止につながります。
通路の確保:通路には物を置かず、常に十分な幅を確保しましょう。使用しない台車や工具は所定の場所に片付け、コード類は束ねて床に固定するなど、つまずきの原因となるものを排除します。
床の清掃:油、水やゴミなどが床に落ちていたら、すぐに清掃しましょう。特に、水回りの設備がある場所や、油を使用する場所では、定期的な清掃を徹底します。清掃後は、床が乾くまで「滑りやすい注意」などの表示を設置することも有効です。
照明の確保:薄暗い場所は足元が見えにくくく、転倒のリスクが高まります。十分な明るさを確保するため、必要に応じて補助照明を設置しましょう。

3.安全な履物の着用

意外と見落とされがちですが。履物も転倒防止に重要な役割を果たします。
滑りにくい靴:作業内容に適した、滑りにくい靴を着用しましょう。特に、油や水を使用する現場では、耐滑性の高い安全靴を選ぶことが重要です。
かかとのある靴:サンダルやミュールなど、かかとのない履物は脱げやすく、転倒の原因になります。必ずかかとが固定される靴を着用してください。
靴のメンテナンス:靴底がすり減っていると滑りやすくなります。定期的に靴の状況を確認し、必要であれば交換します。

4.危険予知と声かけ

自分だけでなく、周囲の安全にも目を配ることが大切です。
危険予知活動:作業を開始する前に、その日の作業内容や環境に潜む危険を予測し、対策を話し合う「危険予知活動(KY活動)」を積極的に行いましょう。転倒のリスクについても具体的に話し合うことで、意識が高まります。
声掛け・注意喚起:危険な場所や状況を見つけたら、すぐに周囲の仲間に声かけを行い、注意を促しましょう。「床が濡れています」「段差があります」といった具体的な声かけが、事故を未然に防ぎます。
無理な行動の禁止:「急いでいるから」「これくらいなら大丈夫」といった無理な行動は、事故の元です。特に、駆け足での移動は転倒のリスクを大幅に高めます。時間に余裕を持った行動を心がけましょう。

  まとめ

転倒事故は、誰にでも起こり得る身近な労働災害です。しかし、その多くは、「足元の確認」「整理整頓」「適切な履物」「危険予知と声かけ」といった、日々の少しの意識と行動で防ぐことができます。急ぐ気持ちはわかりますが、焦りは禁物。一つ一つの作業を丁寧に行い、常に周囲に目を配り、そして何よりも自分の足元を大切にしてください。
現場で働く皆様一人ひとりの安全意識が、無事故で快適な職場環境を作ります。
今日も一日、安全第一で業務に励みましょう!

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